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スイスでは1990年まで、女性が地域の投票に参加できない州があった

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更新日:2026-10-31

スイスは国民投票や直接民主制で知られる国だ。政治への参加を大切にする国という印象を持つ人も多いだろう。

ところが、スイスで女性が国政選挙に投票できるようになったのは1971年。さらに、アッペンツェル・インナーローデン州では、州の政治に参加する権利が1990年まで認められていなかった。

1971年に国政で選挙権を持った女性が、同じ国の一部の州では地方の投票から排除される。そのねじれは、どのようにして生まれたのか。

1980年にアッペンツェルで行われた住民集会ランツゲマインデ

1980年にアッペンツェルで行われた住民集会ランツゲマインデ。画像:Swissair / ETH-Bibliothek Zürich / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0。表示用に縮小。

広場に集まって手を挙げる政治

スイスの一部の地域には、住民が広場に集まり、手を挙げて政治的な決定を行うランツゲマインデという伝統がある。投票用紙を箱に入れる選挙とは違って、参加する住民の姿がその場に見える。

こうした住民集会は直接民主制を象徴する制度だが、長い間、参加を許されていたのは男性だった。

スイスの国政では、女性参政権を導入するかどうかについて男性有権者による投票が行われ、1971年に認められた。ところが地方の政治参加には、州によって異なる制度が残っていた。

アッペンツェル・インナーローデンでは、1990年4月の住民集会でも女性の州レベルの参政権を認める提案が否決された。国政では投票できるのに、住んでいる州の政治では投票できないという状況が続いた。

最後は住民投票ではなく裁判所が決めた

転機となったのは同年11月27日。スイス連邦最高裁判所が、州の女性参政権を認めないことは憲法に反すると判断した。

最後の州でも女性が州レベルの政治に参加できる道が開かれ、翌1991年には女性が州のランツゲマインデに初めて参加した。国政で女性参政権が実現してから、ちょうど20年後のことだった。

この出来事は、直接民主制と基本的人権の関係を考えるうえで興味深い。多数決は民主政治の重要な仕組みだが、投票する資格を持つ人が限られていれば、その多数決で社会の全員の権利が守られるとは限らない。

スイスの制度は一度の改革ですべてが変わったのではない。連邦と州の異なる権限、住民投票、裁判所の判断が重なり、政治参加の範囲が広がっていったのである。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Warum konnten die Frauen in der Schweiz erst ab 1971 abstimmen, wählen und gewählt werden? ↗スイス連邦議会・女性参政権史
  2. Es bestand kein Grund mehr, Frauen das Wahlrecht zu verweigern ↗スイス公共放送SRF(2014年11月27日)

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