イタリアの中に、面積が小さく、周囲をイタリア領に囲まれた独立国家がある。サンマリノ共和国だ。
この国で国家元首に会おうとすると、原則として二人に会うことになる。しかも二人の任期は、たった6か月。春に選ばれた国家元首が、その年の秋には新しい二人と交代する。
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サンマリノの共和国宮殿パラッツォ・プッブリコ。画像:Terragio67 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0。表示用に縮小。
なぜ一人ではなく二人なのか
サンマリノの共同国家元首は、**執政(Capitani Reggenti、カピターニ・レッジェンティ)**と呼ばれる。日本の外務省の説明によれば、立法府である大評議会の議員から二人が選ばれ、毎年4月1日と10月1日に就任する。
国家元首を二人にする発想には、権力を一人に集中させない共和国の政治文化がある。ヨーロッパの中世の都市共和国では、支配者の権限を分割したり任期を短くしたりする工夫が行われた。サンマリノは、そのような歴史的制度を現在まで残している。
二人が大統領選挙で全国から直接選ばれるわけではない。議会が選び、任期は短い。国家元首の役割と、政府の実務を担当する役割も区別されている。
元首が半年で代わっても政治は毎回やり直しにならない
国の象徴や憲法上の職務を担う国家元首と、行政政策を日々進める政府は同じではない。だから共同元首が半年ごとに交代しても、国会や行政機関が半年ごとに消えてしまうわけではない。
サンマリノは周囲をイタリアに囲まれた小国だが、外交関係を持ち、独自の政治制度を維持している。国家元首の人数や任期は、国の広さだけでは決まらないことがよく分かる。
大統領が一人で数年の任期を務める国もあれば、世襲の君主を置く国もある。サンマリノの二人の執政は、共和国の統治者を短い任期で交代させるという、現代では珍しい選択を守り続けてきた。