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スイスの政府は7人の合議制。大統領は毎年交代し、ほかの6人より偉いわけではない

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更新日:2026-10-31

スイスにも大統領がいる。しかし、この大統領をアメリカの大統領やフランスの大統領と同じものだと思うと、政治の仕組みを見誤る。

スイスの政府を運営しているのは、7人の連邦参事で構成する連邦参事会だ。大統領はその7人のうち1人が担当し、任期はわずか1年。そして大統領になったからといって、ほかの6人に命令できる上司になるわけではない。

2026年の大統領はギー・パルムラン。彼も、政府の構成員である7人の中の一人だ。

ベルンの連邦議事堂。スイスの議会と連邦参事会が置かれている

ベルンの連邦議事堂。スイスの議会と連邦参事会が置かれている。画像:Marc-Lautenbacher / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(表示用に縮小)。

七人が一緒に政府の決定を担う

スイスの連邦参事会が成立したのは1848年。近代的な連邦国家が成立したときに定められた仕組みで、それ以来、基本的には7人の構成を保ってきた。

7人は連邦議会によって選ばれ、各自が外交、財政、経済、国防などの行政部門を担当する。しかし政府全体として重要な決定をするときには、連邦参事会という合議体で対応する。内閣が首相一人の所有物にならないような仕組みだ。

連邦参事は任期4年で、再選も可能。通常、政権党だけがすべての閣僚を占めるのではなく、複数の主要政党の人物が政府に加わる。このため一つの選挙で多数を得た政党が、その翌日に政府の顔ぶれを総入れ替えするような政治とは異なる。

むろん意見が一致しないこともある。それでも政府として決定した政策について、参事たちは共同で責任を持つという考え方が重視される。

「大統領」は七人の代表役

大統領は毎年12月に議会で選ばれ、翌年1月から12月まで一年間務める。会議の議長を務め、対外的な儀礼や行事で国を代表する役割が増える。ただし通常の内閣の仕事も続ける。

スイス政府はこの役割をprimus inter pares、すなわち同輩の中の第一人者と説明している。特別な代表役ではあっても、大統領にだけ独立した強大な行政権が集中しているわけではない。

ここが日本の首相とも、アメリカの大統領とも異なる。日本では国会の指名によって首相が選ばれ、首相が国務大臣を任命する。アメリカでは大統領が行政府の頂点に立つ。スイスでは7人の大臣に相当する人々が、全員で政府を構成する。

強い指導者がいなくても国は動く

政治制度の比較では「大統領がいるかどうか」という名称だけを見ても十分ではない。誰が議会から選ばれるのか、誰が政府の重要な決定を下すのか、選挙後に政府の構成がどう変わるのかを見る必要がある。

スイスの政治にも政党間の対立や国民投票をめぐる議論はある。合議制だからすべての政治的対立が消えるわけではない。それでも、一人の大統領を選んで国家の運営を任せる方式以外にも民主政治が成立しうるという、興味深い実例である。

同じスイスでは、女性の州レベルの参政権が最後の州で認められたのは1990年だった。合議制や直接民主制という制度があっても、政治参加の範囲が初めから平等だったわけではない。制度の歴史には、改革と矛盾がともに残っている。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. The Federal Council ↗Swiss Federal Chancellery(スイス政府公式、2026年確認)
  2. The seven members of the Federal Council ↗Swiss Federal Chancellery
  3. Federal Council election ↗Swiss Federal Chancellery

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