アマゾンの熱帯雨林とサハラ砂漠。片方は緑に覆われた湿った森、もう片方はほとんど植物のない乾いた土地だ。地球上でも正反対の環境に見える。
ところが、この二つの地域は大西洋を越えてつながっている。サハラから舞い上がった細かな砂ぼこりが、アマゾンの樹木の成長に必要な養分を運んでいるのである。
雨の多い森ほど、土の栄養が失われる
アマゾンには多くの植物が育つが、地面の土がどこでも養分豊富とは限らない。高温多雨の環境では有機物の分解が速く、植物が養分をすぐに取り込む。また、激しい雨によって一部の養分が流れ出す。
特に重要な成分の一つがリンだ。植物が細胞をつくり、エネルギーを利用するために必要な元素だが、土から失われれば森の生産力にも影響する。
そこで役立つのが、アフリカから飛んでくる砂ぼこりである。
大西洋を越える砂の旅
チャドのボデレ低地は、昔の湖底に由来する鉱物を含み、リンを含む細かな粒子が強い風で舞い上がる。上空の風に乗った砂ぼこりは、大西洋を横断して南アメリカへ届く。
NASAの研究者たちは、衛星CALIPSOの観測データを利用し、2007年から2013年にかけて運ばれた砂ぼこりの量を推定した。
その結果、アマゾン流域に年間およそ2770万トンの砂ぼこりが降り注ぎ、そこに含まれるリンは約2万2000トンに相当すると見積もられた。これは雨や洪水によってアマゾンから失われるリンの量に近いという。
もちろん、アマゾンの森が砂漠の砂だけで育っているわけではない。森の中で落ち葉が分解され、養分が何度も再利用されることも大きい。
それでも、遠くの砂漠から飛んでくる粒子が、森の養分の不足を補っている。大陸を隔てた二つの環境が、風と砂ぼこりによって結び付いているのである。