小さな苗木を植えると、何十年か後には太く重い大木になる。あの大量の木材は、一体どこから来たのだろう。
最も思いつきやすい答えは土だ。根から水や養分を吸い上げ、その分だけ木が大きくなるように見える。
しかし木材をつくる主な材料の一つ、炭素のほとんどは土から吸い取ったものではない。葉が空気中から取り込む二酸化炭素に由来している。
葉っぱが空気から木材をつくる
木の葉は光合成を行う。太陽の光をエネルギーとして、空気中の二酸化炭素と根から吸った水を材料に糖などの有機物をつくる。
その糖は呼吸でエネルギーを取り出すためにも使われるが、一部はセルロースなどの成分に変わり、幹や枝、根の体をつくる。木材の大部分を占める細胞壁も、そうした有機物からできている。
つまり、空気中の二酸化炭素が、化学反応を経て固い木の幹へ変わっていくのである。
NASAは植物が大気から二酸化炭素を取り込み、葉や幹、根などに含まれる炭素化合物をつくる仕組みを炭素循環の一部として説明している。
根が吸うものも、もちろん重要
では土は要らないのかといえば、そうではない。植物は根から水や窒素、リン、カリウムなどの養分を得る。これらが不足すれば、大気に十分な二酸化炭素があっても正常には育たない。
また、木の生きた組織には大量の水も含まれる。「木の重さの大部分が空気そのもの」という言い方をそのまま湿った木全体に当てはめるのも正確ではない。乾燥した木材の中の炭素の由来を考えることが大切だ。
それでも、地面から育つ巨大な木の体に、大気から来た炭素が大量に閉じ込められているというのは意外だろう。
木が生長すると大気中の二酸化炭素を取り込む。木が燃えたり腐ったりすると、その一部がまた空気へ戻る。森を眺めるとき、そこに見える木材が空気と太陽光から生まれたことを思い出すと、いつもの風景が違って見えてくる。