ペンギンといえば南極の氷の上を歩く姿が有名だ。そのため、北極にもペンギンが暮らしていそうな気がする。しかし野生のペンギンは北極圏には分布していない。
ところが南極から何千キロメートルも離れた、赤道直下のガラパゴス諸島にはペンギンがいる。ガラパゴスペンギンという種類で、わずかながら北半球側にも分布する。
氷のない熱帯の島で、どうしてペンギンが生きられるのだろう。
ペンギンは南半球で進化して広がった
ペンギンの仲間は、長い進化の歴史の中で南半球を中心に分布を広げてきた。南極だけでなく、南アフリカ、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの沿岸などにも生息している。
種類によって暮らす場所は違う。コウテイペンギンのように海氷の上で繁殖する種類もいれば、暖かな海岸で巣をつくる種類もいる。
共通しているのは、海で魚などを捕らえる生活に適応していることだ。ペンギンに必要なのは寒さそのものより、繁殖に使える陸地と、十分な餌を得られる海の環境なのである。
赤道に届く冷たい海流
ガラパゴス諸島の周辺には、南アメリカ西岸から北上する冷たいフンボルト海流や、深い海から湧き上がる冷たい水の影響がある。
こうした海流は、豊富な栄養分を表層に運び、プランクトンと魚を育てる。ガラパゴスペンギンは、その魚を追って暮らしている。
暑い日差しを避けるため、岩の割れ目や洞窟で休むこともある。南極のペンギンとは違う工夫で、熱帯の島に適応しているのだ。
ただし冷たい海流の勢いが弱まり、海水温が上がるエルニーニョの年には、魚が減って大きな被害が出ることもある。
北極には野生のペンギンがいない。それでも赤道の島にはいる。ペンギンの分布を決めてきたのは、緯度だけではなく、海流と餌と進化の歴史だったのである。