砂漠と聞いて思い浮かぶのは、照りつける太陽と一面の砂だろう。だが地球上で最も面積が大きい砂漠は、サハラ砂漠ではない。氷と雪に覆われた南極大陸である。
南極の面積は約1400万平方キロメートル。サハラ砂漠の約900万平方キロメートルよりずっと広い。真っ白な雪原をなぜ砂漠と呼ぶのか。それは「砂漠」の定義が、気温や地面の色ではなく、どれだけ雨や雪が降るかという乾燥の程度に関わっているためだ。
大量の氷があるのに、雪はあまり降らない
イギリス南極観測局によれば、南極大陸に降る雪を水に換算すると、年間平均で約150ミリメートル程度。地域によって大きく異なり、内陸の南極高原ではさらに少ない。ノルウェー極地研究所は、高原の年間降水量をわずか25〜50ミリメートルと説明している。
水が山ほどあるのに、空から新しく降ってくる水は非常に少ない。
理由の一つは、冷たい空気は暖かい空気ほど多くの水蒸気を含めないことだ。南極の内陸は極端に低温で、雨雲や雪雲になる水分が少ない。海から遠く、高い場所にあることも乾燥に関係する。
では、雪が少ないのにどうして厚い氷に覆われているのか。気温が低く、降り積もった雪が簡単には融けないからだ。毎年わずかずつ積もる雪が長い年月をかけて圧縮され、巨大な氷床をつくる。氷床は厚いところで数キロメートルに達する。
砂の砂漠と、氷の砂漠
「砂漠=暑い」という印象は、世界的に有名なサハラ砂漠などから生まれたものだ。しかし気候学では、雨や雪の少ない寒冷な地域も砂漠に分類される。南極はその代表である。
これは、南極に砂丘が延々と続いているという意味ではない。乾燥という気候上の共通点があるだけで、地表の姿はまるで違う。
サハラ砂漠にも緑の時代があったことを考えると、砂漠という分類は想像以上に幅広い。地球で最大の砂漠が一面の白い氷に覆われているのは、そのことをよく表している。