サハラ砂漠の奥深く、チャド北東部のウニアンガには、不思議な湖が点在する。周囲は乾いた砂と岩の大地なのに、青や緑の水面がいくつも並んでいる。この地域では雨がほとんど降らない。それなのに、湖はなぜ消えないのだろう。
現在の湖の多くは、かつてサハラが今より湿潤だった時代につくられた大きな水域の名残と考えられている。気候の乾燥化とともに湖は縮小したが、ウニアンガでは地下から水が供給され続けている。地表に降る雨がわずかでも、地下の水の流れがあれば湖を維持できる。
さらに湖ごとに性質が異なる。塩分が濃い湖もあれば、比較的淡水に近い湖もあり、水の色も違って見える。地下水の入り方、湖の深さ、植物の分布などがそれぞれ異なるためだ。
ユネスコはこの地域を世界遺産に登録し、極度に乾燥した環境で湖が存続していることを特筆している。雨が降らない場所に湖が残るという一見矛盾した景色は、地上の天気だけでは分からない地下水の働きを示している。
