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タコはヤシの殻を持ち歩く。必要なときに組み立てる海底の隠れ家

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更新日:2026-10-31
動物の写真。写真は本文の研究対象個体を撮影したものとは限りません。
動物のイメージ写真・本文の研究対象個体ではありません写真:Vincent Niochet / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0(表示領域に合わせてトリミング)

海底を歩くタコが、ヤシの実の殻を荷物のように運んでいる。

殻は半分に割れた器の形。それを重ね、体の下へ抱え込み、腕を突っ張って持ち上げながら進む。泳げる動物なのに、わざわざ歩きにくそうな格好で移動している。

この行動を2009年に報告したのは、ジュリアン・フィンらの研究チームだ。インドネシアの海で観察されたタコ、学名 Amphioctopus marginatus は、運んだ殻を後で隠れ家に使っていた。

隠れる場所の少ない海底で

このタコは、砂や泥の海底にすむ。岩の割れ目だらけの場所とは違い、外へ出れば体を隠せる場所が乏しい。柔らかな体で餌を探すタコにとって、身を覆う硬い物は役に立つ。

オーストラリア博物館によれば、この種は砂や泥に潜るほか、捨てられた貝殻やヤシの殻を防御に使う。インドネシアの人の住む海岸近くでは、捨てられたヤシの殻を見つけられるという。

半分の殻を二つ合わせれば、中へ入れる小部屋になる。海に落ちた器が、タコには携帯できる隠れ家になるわけだ。

注目されたのは、使っていない時間

研究者が面白がったのは、殻に入っている場面だけではない。

身を守る物をその場でかぶる行動なら、使う目的と動作がすぐにつながる。このタコは、殻を集め、重ね、持ち運び、必要になってから隠れ家として組み立てた。

運んでいる最中の殻は、体を包んで守ってくれない。むしろ移動の邪魔になる。それでも手放さずに運ぶという、使用と運搬の時間差に研究チームは注目した。

論文では、この一連の行動を防御のための道具使用として報告している。材料を運ぶ不格好な姿にこそ、その報告の核心があった。

人間が捨てるより前は、何を使ったのか

人が海へヤシの殻を捨てるようになる前にも、海底には大きな二枚貝の殻があった。研究者たちは、もともと貝殻を利用していた行動が、比較的新しく手に入るヤシの殻にも広がった可能性を挙げている。

これは行動の起源についての仮説だが、同じタコが貝殻も利用することは観察されている。重要なのは、材料が天然か、人の捨てた物かより、体を収められる形と硬さなのだろう。

タコが殻を抱えて海底を進む。到着した先で殻を合わせ、柔らかな体を中へしまう。拾った物を、その場限りの覆いではなく、持っていける隠れ家にしている。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Defensive tool use in a coconut-carrying octopus ↗Finn, Tregenza & Norman, Current Biology 19(23), R1069–R1070 (2009)
  2. Study reveals use of tools by octopuses ↗European Commission, CORDIS
  3. Veined Octopus ↗Australian Museum

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