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羽が透けるチョウは、光の反射まで抑えている。ガラスのような羽の微細構造

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更新日:2026-10-31

茶色い縁取りの内側に、向こうの景色が透けて見える。グラスウィングバタフライと呼ばれるチョウ、学名 Greta oto の羽は、色の付いた枠に透明な窓をはめたような姿をしている。

チョウの羽を覆う細かな鱗粉を少なくすれば、光は通りやすくなる。だが、それだけで目立ちにくい羽が完成するわけではない。透明な窓ガラスも、光の当たり方によっては白く光る。

このチョウは、羽を透けさせるだけでなく、表面の反射も抑えていた。

光の通り道をふさがない鱗粉

一般的なチョウの羽では、平たい鱗粉が重なり合って表面を覆う。色素や微細な構造によって色が現れ、羽の模様になる。

一方、Greta oto の透明な部分には、細い毛のような鱗粉や、枝分かれした形の鱗粉がまばらに並ぶ。幅広い板で覆う場合に比べ、下にある羽の膜が露出し、光が通る余地が大きい。

2021年の研究は、成虫だけでなく、さなぎの中で羽ができていく過程も顕微鏡で追った。透明な部分は、羽が完成してから鱗粉を失ってできるのではなく、発生の途中から、色の付いた部分とは違う構造へ育っていた。

つるつるの表面より、細かな凹凸

膜そのものも、空気と同じ光学的な性質を持つわけではない。空気から膜へ光が入る境目では、その一部が反射する。

2015年の研究で注目されたのは、透明部分を覆う、光の波長より小さな柱状の構造だった。高さのそろわない微小な柱が並ぶことで、空気から羽の内部へ光が進む際の性質の変化が緩やかになり、反射が抑えられる。

見た目には平らな窓のようでも、拡大すると表面には凹凸がある。しかも柱は、きれいに高さをそろえて並んでいるわけではない。その不規則さが、さまざまな角度や波長に対する低い反射に関わっている。

表面を取り除くと、羽が光った

2021年の研究チームは、この柱の材料にも踏み込んだ。

羽の表面を溶剤で処理すると、上層の柱状構造が取り除かれ、その下に別の小さな突起が残った。化学分析から、上層は主に長い鎖を持つ炭化水素からなるワックス状の物質だと分かった。

処理後の羽では、光の反射が増えた。微小な柱は、透明な膜の上に偶然付いている飾りではなく、実際に反射を減らしていたのである。

肉眼には、色のない空白に見える部分。その透明さを支えているのは、鱗粉の形と密度、膜の表面、さらにその上に作られたワックスの微細構造まで重なる、小さな羽の作り込みだった。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Developmental, cellular and biochemical basis of transparency in clearwing butterflies ↗Pomerantz et al., Journal of Experimental Biology 224, jeb237917 (2021)
  2. The role of random nanostructures for the omnidirectional anti-reflection properties of the glasswing butterfly ↗Siddique, Gomard & Hölscher, Nature Communications 6, 6909 (2015)

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