進化は、集団の遺伝的な性質が世代を通じて変化する現象である。その仕組みの一つが自然選択だ。
個体差が出発点になる
同じ種の個体でも、体の色、病気への耐性、成長速度などには違いがある。その一部には遺伝的な要因が関わる。
ある環境で、その違いが生存や繁殖に影響する場合がある。例えば、特定の体色の個体が捕食者に見つかりにくく、その結果として多くの子孫を残すなら、その体色に関連する遺伝的性質が次世代で増える可能性がある。
「必要だから変わる」わけではない
自然選択を誤解しやすい点は、個体が望んだ性質を獲得し、それをそのまま子に伝えると考えてしまうことである。自然選択ではまず遺伝する変異が存在し、環境のもとで繁殖成功に差が生じる。
同じ形質でも、環境が変われば有利にも不利にもなりうる。また、生物の進化は自然選択だけでは説明できない。突然変異、遺伝的浮動、遺伝子流動なども集団の遺伝的構成を変化させる。
自然選択とは「生物が完全な姿へ向かう仕組み」ではなく、特定の環境と世代交代のもとで起こる統計的な変化である。