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1978年、中国の農村で18戸の農家が密かに契約を結んだ

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更新日:2026-10-31

1978年、安徽省の小崗村で、18戸の農家が集まって一つの契約を結んだ。

村で共同で行っていた農業の仕事を世帯ごとに分け、決められた分を納めた後の収穫物は自分たちで得られるようにする。その仕組みは、当時の集団農業制度のもとでは認められていない行動だった。

後にこの出来事は、中国の改革開放を象徴する話として広く紹介されるようになった。農村の小さな契約が、数億人の暮らす国の農業制度と結び付いたのである。

1978年の小崗村から広がった農業の契約方式を表した図

集団農業から家庭請負責任制への変更点を示したオリジナル模式図。各農家の実際の収穫量や配分率を示すものではない。

農地は集団のものだった

1950年代後半から中国の農村では人民公社の仕組みが広がり、農地は集団所有のもとに置かれた。農業の生産も、生産隊などを通じて共同で行うのが基本となった。

農家が一年のうちにどれだけ収入を得られるかは、共同体全体の生産や分配の仕組みに左右された。もちろん全く個人の区画がなかったわけではなく、小さな自留地や市場での取引が一定程度認められる場合もあった。

しかし、農地で何を作るか、どのような方法で作るかを各家庭が自由に決め、収穫を自分の利益にできる余地は限られていた。

生産計画が現地の条件と合わなかったり、農家が努力しても収入が大きく変わらなかったりすれば、生産性を高める動機も弱まりうる。

家庭ごとに仕事を任せ、余った作物を売る

小崗村の農家たちは1978年11月、土地の利用と収穫を世帯ごとに割り振る契約を結んだと、中国政府は公式資料で説明している。

重要なのは、土地がそのまま各家庭の私有財産になったわけではないという点だ。土地は集団所有を維持しながら、世帯が契約に基づいて生産を担う仕組みだった。

農家は決められた納入分を果たせば、残りの収穫物を利用したり売ったりできる。自分の生産努力と収入が、以前より直接つながるようになったのである。

中国政府の公式説明では、この契約は制度の制約を破って行われたとされ、後に農業改革の象徴になった。世界銀行の2011年の報告も、1978年の18人の農民による秘密の契約を、中国の農村改革の出発点の一つとして紹介している。

全国で一夜に制度が変わったわけではない

18戸の契約だけで、翌日から中国全土の農家が自由に作物を売れるようになったわけではない。

1970年代末以降、安徽省や四川省など各地で農業制度の見直しが進み、中央政府が改革を段階的に承認した。世界銀行とIMFの研究は、農家への契約による生産責任の移行、農産物の買上価格の引上げ、市場での販売の拡大が組み合わさっていたと説明している。

1980年代前半には家庭請負責任制が広い地域へ普及した。1984年には農村世帯の大部分がこうした制度へ移行していたという当時の分析もある。

中国の農業生産は改革期に伸び、農村所得も改善した。ただし、その変化を小崗村の18戸だけの功績として説明することはできない。価格政策、農業技術、道路や市場の整備など複数の要因も関わっていた。

共産党が統治する国で、市場を認めるということ

中国の改革開放では共産党による政治統治が続く一方、農家が商品を売る市場、民間企業、海外からの投資などの役割が拡大した。

この改革を、社会主義をすべて放棄したものとして説明するか、社会主義の制度を作り直したものとして説明するかは、政治的立場によっても異なる。歴史の事実として確認できるのは、農地の集団所有を維持しながら、各世帯による生産と市場取引を広げたことだ。

1921年のソ連でレーニンが新経済政策を導入した出来事にも、生産を回復させるために市場取引を認めた点で共通する部分がある。ただし中国の改革は段階的に規模を拡大し、後に工業と国際貿易まで制度を変えていった。

農村の小さな契約は、経済制度が党の会議や国家の計画書だけでなく、実際に働く人々の行動と政策の変更によって生まれることを示している。

共産主義の経済史全体を読む / レーニンの市場政策

REFERENCES

参考文献・出典

  1. World Development Report 2011, Box 5.1 China’s approach to gradually piloting economic reform ↗World Bank
  2. Xiaogang Village ↗State Council Information Office of China(党政府側の公式説明)
  3. Overview of Reforms / Agricultural Reform ↗International Monetary Fund
  4. Reflections on forty years of China’s reforms ↗World Bank

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