自動車の色は赤、白、青、銀などさまざまだ。それなのに、タイヤはほとんどが黒い。道路を走る車を眺めると、メーカーも車種も違うのに、足元だけは驚くほど色がそろっている。
タイヤに使う天然ゴムは、もともと黒いものではない。白っぽい色をしている。黒いタイヤが一般的なのは、強さと耐久性を高める材料が入っているためだ。
ゴムに黒い粉を混ぜる
タイヤは車の重さを支え、地面との摩擦を受けながら回り続ける。走るたびに変形して元に戻るため、ゴムだけでは十分な強さや寿命を確保しにくい。
そこで使われるのが「カーボンブラック」という非常に細かい炭素の粉末である。ゴムへ混ぜると内部で補強材として働き、摩耗に強くなる。
タイヤメーカーのミシュランによれば、カーボンブラックをタイヤ用ゴムに加える技術は20世紀初めから広まり、耐摩耗性を大きく高めた。同社の材料解説には、カーボンブラックによって耐摩耗性が約10倍になったという説明もある。
カーボンブラックそのものが黒いため、混ぜたゴムも黒くなる。タイヤの色は、機能を持つ材料がそのまま表に現れた結果だ。
日差しへの強さにも役立つ
駐車場に置かれた車のタイヤは、夏の強い日差しも受ける。紫外線によってゴムの表面が劣化すれば、ひび割れにつながる。
カーボンブラックは紫外線の影響を抑える働きも持つ。黒い色は、タイヤを長く使うための材料の特徴でもある。
もちろん、タイヤの配合にはほかにも多くの技術が使われている。シリカなど、黒くない補強材も重要だ。ゴムの種類、溝の設計、材料の組み合わせが、雨の日の滑りにくさや燃費、寿命に関係する。
それでも、世界中の車のタイヤが同じように黒い理由は明快だ。目立たない炭素の粉が、タイヤの働きを支えているのである。