スマートフォンとイヤホンを無線でつなぐBluetooth。毎日のように見る名前だが、実は技術用語の略称ではない。
名前の由来は、約千年前にデンマークを統治した王、ハラルド・ゴルムソンだ。「青歯王(Bluetooth)」というあだ名を持っていた。
では、どうして現代の無線技術が、バイキング時代の王の名前を名乗っているのか。
パソコンと携帯電話を一つにつなぐ
1990年代、コンピューターや携帯電話のメーカーは、機器を短い距離で無線接続する技術を開発していた。ところが各社が別々の仕組みをつくれば、違うメーカーの製品同士がつながらなくなる。多くの企業で共通の規格を決める必要があった。
1996年、インテル、エリクソン、ノキアの関係者が集まり、規格の標準化について話し合った。その席でインテルの技術者ジム・カーダックが、開発中の規格の仮の名前として「Bluetooth」を提案した。
ハラルド王はデンマークなどの勢力をまとめた人物として知られる。コンピューター業界と携帯電話業界を結び付けるという目標を、その歴史に重ねたのだ。
仮の名前が正式名称に残った
最初からBluetoothを正式名称にするつもりではなかった。別の案としてRadioWireやPANも検討された。
しかしPANはすでにさまざまな場面で使われており、RadioWireも商標の調査が期限までに終わらなかった。結局、仮の呼び名だったBluetoothが正式名称として採用される。
よく見る青い楕円のロゴにも、ハラルド王の名残がある。中央の白い記号は、古い北欧の文字ルーンで「H」と「B」を組み合わせた形だ。ハラルド・ブルートゥースの頭文字である。
スマホの画面に表示されるあのマークは、単なる無線の図案ではない。千年前の王様の名前を隠した記号でもあった。