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アラスカでは条件を満たす住民に、州の基金から毎年配当金が支払われている

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更新日:2026-10-31

アメリカのアラスカ州には、条件を満たした住民に毎年お金を支払う制度がある。税金を納めた人への還付というだけではない。州の資源収入を基盤として蓄積し、運用してきた基金から支払う配当金である。

制度の名前はPermanent Fund Dividend。1982年に最初の配当が行われ、当時の額は一人1000ドルだった。石油などの資源で得た富の一部を、将来世代のために積み立てながら州民に還元する制度が続いている。

アラスカを走るトランス・アラスカ・パイプライン。石油産業は州の財政の重要な要素となった

アラスカを走るトランス・アラスカ・パイプライン。石油産業は州の財政の重要な要素となった。画像:Frank K. / Wikimedia Commons / CC BY 2.0(表示用に縮小)。

地下から出てきた石油は、誰の富なのか

アラスカでは20世紀後半、石油開発によって州に大きな収入が入るようになった。だが石油は、一度採掘して使えば同じ場所から無限に取り出せる資源ではない。

石油の収入をその年の支出だけに使い切れば、採掘が減ったあとに何が残るだろうか。そこで州は1976年、州憲法改正によってアラスカ永久基金を設けることを決めた。

州が得る鉱物資源のロイヤルティ収入の一定割合を基金の元本へ積み立て、株式や債券などに投資する。資源から得た一時的な収入を、長期にわたって資産を生む仕組みへ変えようとしたのである。

最初の制度は最高裁判所で違憲と判断された

この配当制度にも、意外な回り道があった。

1980年に成立した最初の法律は、州での居住年数に応じて大人への支払額を増やす仕組みだった。しかし居住年数に基づく扱いをめぐって争いが起き、1982年にアメリカ連邦最高裁判所は当初の制度を違憲と判断した。

その後州議会は、資格を満たした住民に同額を支払う方向で制度を改めた。同年6月14日、最初の1000ドルの配当が実際に支払われたと州の公式年表に記されている。

現在の配当には居住条件、申請、その他の資格要件がある。アラスカに観光に来ただけの人が受け取れるお金ではなく、州民なら無条件で自動的に支払われるわけでもない。

石油の売上げを、そのまま人数で割っているわけではない

アラスカ永久基金では、元本と運用益を扱う部分が分けられている。憲法で守られた元本は原則としてそのまま使えず、運用益を財源として配当や公共サービスへ支出できる仕組みだ。

基金の運用は株式・債券・不動産などに広がり、毎年の配当額も一定ではない。州議会の予算決定や運用成績、法律による条件が関わる。

この制度は、石油が採れれば全員が毎年同じだけ豊かになるという単純な話ではない。資源価格や生産量が変わり、投資に損失が出る可能性もある。公共サービスへの支出と配当をどう配分するかという政治的な選択も残る。

それでも、地面の下にある資源から得た収入を長期の資産に変え、その一部を住民に分けるという発想は興味深い。

同じように資源収入を国民のために長期運用する仕組みを持つ国として、世界の上場株式を広く保有するノルウェーの政府基金がある。どちらも資源収入を将来の富へ変えようとするが、お金を住民に直接配るか、国の予算へ使うかでは違いがある。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Permanent Fund Dividend - Historical Timeline ↗State of Alaska, Permanent Fund Dividend Division(アラスカ州公式)
  2. Summary of Dividend Applications & Payments ↗State of Alaska, Permanent Fund Dividend Division
  3. Fund Structure ↗Alaska Permanent Fund Corporation

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