イチゴの赤い表面には、小さなつぶつぶがたくさん付いている。食べるとプチプチとした感触があるため、種だと思っている人も多いだろう。
植物のつくりを細かく見ると、あの粒は一つずつが小さな果実だ。中に本当の種が入っている。
では、私たちが甘くておいしいと感じる赤い部分は何なのだろう。
一輪の花から、たくさんの果実が育つ
イチゴの花には、多数の雌しべがある。受粉すると、それぞれの雌しべの子房が小さな果実になる。
その果実が、赤い表面に並ぶ粒の正体だ。「痩果(そうか)」と呼ばれ、薄い果皮に包まれた一個の種を持っている。
一方、粒を支える赤い部分は、花の中で雌しべなどが付いていた「花托(かたく)」という部分が大きくふくらんだものだ。糖分を蓄え、柔らかく甘くなるので、私たちは主にそこを食べている。
アメリカ農務省の資料も、イチゴを肥大した花托と、その表面にある多数の痩果からなるものとして説明している。
形が変わったイチゴの秘密
売り場で見かけるイチゴは、きれいな円錐形ばかりではない。先が平らだったり、片側がくぼんでいたりするものもある。
実は、イチゴの形には表面の小さな果実が関係している。受粉が十分でなかった部分では、痩果の発達が悪く、その周囲の花托も大きく育ちにくくなる。
ミネソタ大学の農業普及資料では、受粉の不足がイチゴの変形や小型化につながることを解説している。ミツバチやマルハナバチなど、花粉を運ぶ昆虫が形のよいイチゴの収穫にも役立つ。
イチゴを半分に切ると、赤い果肉の外側に小さな粒がいくつも見える。その一粒一粒が、それぞれの花の部分から生まれた果実だったのである。