ひとくち雑学 · 生物

スーパーのバナナに種がないのは、種なしの株を何世代も増やしてきたから

この記事の目次
更新日:2026-10-31

バナナを一本食べ終わっても、スイカのような大きな種は出てこない。果肉の中央には小さな黒い点が見えることがあるが、普段スーパーで買うバナナに、発芽する硬い種はほとんど入っていない。

では、種がないバナナはどうやって次の世代を増やしているのだろう。

答えは、果実に種をつくらせなくても、新しい株を育てられることにある。

野生のバナナには硬い種がある

バナナの野生の仲間を切ると、果肉の中に黒く硬い種が多数入っているものがある。食べる部分が少なくなるほど、大きな種を持つ種類もいる。

一方、現在栽培されている食用バナナの多くは、種をほとんどつくらずに果実が育つ。こうした株は、長い栽培の歴史の中で人間に選ばれ、増やされてきた。

栽培バナナには、染色体を三組持つ「三倍体」のものが多い。染色体を半分ずつに分けて花粉や卵細胞をつくるとき、三組あるとうまく分配できず、正常な種子ができにくくなる。

果実は育つのに硬い種がないため、人にとって食べやすい。

種をまかずに、株を増やす

バナナの根元には、新しい芽が伸びてくる。この芽を分けて別の場所に植えれば、元の株とよく似た性質を持つバナナを育てられる。

現在の商業栽培では、苗の組織培養なども利用されている。いずれも、種から新しい個体をつくるのではなく、既存の株をもとに増やす方法だ。

この方法は、甘さや形などの特徴をそろえやすい。一方で、遺伝的に似た株が多くなると、特定の病気に弱くなる問題も起こり得る。

私たちがバナナを食べるときに種を気にしなくて済むのは、野生のバナナの特徴と、何世代にもわたる栽培の工夫が結び付いた結果なのである。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. Clonal Propagation of Multipurpose and Fruit Trees Used in Agroforestry Systems ↗USDA Agricultural Research Service
  2. Developing Non-Invasive Nursery Crops ↗USDA Agricultural Research Service

リンク先は外部サイトです。本文は資料を参考に独自に執筆しています。