地面に突然現れるキノコは、菌類の体のほんの一部分かもしれない。
多くのキノコをつくる菌類は、地中や倒木の内部に細い菌糸を張り巡らせて暮らしている。私たちが『キノコ』と呼んで食べる傘や柄のある部分は、主に胞子をつくって散布するための子実体だ。
雨の後などにキノコが急に現れても、菌がその日突然生まれたとは限らない。見えない場所にいた菌糸体が、環境条件に応じて繁殖用の構造を伸ばした可能性がある。植物の根に見える菌糸も、根とは働きも進化の起源も異なる。
キノコを摘み取っても、地下や木の内部には広がった菌糸が残っている場合がある。傘や柄のある構造は胞子をつくって広げるための子実体で、植物の果実にたとえられることもある。
ただし植物の花や果実と同じ器官ではなく、進化の起源も異なる。菌類が周囲の有機物を分解して栄養を得ることと合わせると、地上に見える部分の役割が理解できる。