オリンピックで優勝した選手が首にかける金メダル。光り輝く姿を見ると、丸ごと金でできていると思うかもしれない。しかし現代のオリンピックの金メダルは、ほとんどが銀でできている。
例えば2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは、金メダルには約500グラムの銀と、約6グラムの金が使われた。金の量は全体の重さのほんの一部だ。
ではなぜ「金メダル」と呼ぶのだろうか。
金なのは主に表面
現在のオリンピックでは、1位のメダルの母材に銀を使い、表面に金を施すのが一般的だ。IOCの規定では銀の純度や金の使用量などの基準が定められている。
見た目には黄金色でも、中まで金の塊というわけではない。これは偽物という意味ではない。主催者が正式な基準に従ってつくった、本物の金メダルである。
もし重いメダルをすべて純金でつくれば、材料費は大きく跳ね上がる。金属の種類と製造法には、費用だけでなく、耐久性や加工のしやすさといった事情も関わる。
最初から金メダルがあったわけではない
さらに意外なことに、1896年の第1回近代オリンピックでは優勝者へ銀メダルが贈られていた。当時は1位が銀、2位が銅で、現在の金・銀・銅という組み合わせとは違った。
20世紀の初めには金・銀・銅の制度が定着していったが、1912年のストックホルム大会を最後に、現在の夏季大会では純金製の金メダルは使われなくなったとされる。
メダルの価値は金属の市場価格だけで決まるものではない。誰がどの競技で勝ち取ったかという記録の方が、はるかに大きな意味を持つ。
それでも、金メダルの中身が大部分は銀だと知ってから表彰式を見ると、いつもと少し違って見えるだろう。