ブリュッセルに立つアトミウムは、銀色の球体が九つ、管でつながった巨大な建物だ。宇宙船のように見えるが、もともとの発想は身近な金属、鉄の結晶構造にある。
1958年のブリュッセル万国博覧会に合わせて建設され、鉄の原子の並びを約1650億倍に拡大した模型として設計された。高さは約102メートル。球体の一部は展示室になっており、人は管の内部を通って球から球へ移動できる。原子の模型の中へ実際に入り込むような体験だ。
ただし、本当の原子は銀色の固い球ではない。模型は原子の位置関係を分かりやすく示すためのもので、原子そのものの見た目を再現したものではない。
この建物が生まれた1950年代は、原子力や宇宙開発などの科学技術に未来への期待が集まった時代でもあった。建設当時に「未来」を象徴した鉄の結晶が、今は20世紀の科学観を伝える歴史的な建築になっている。
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