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ガボンの地下では、20億年前に天然の原子炉が動いていた

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更新日:2026-10-31

1972年、フランスのウラン濃縮工場で、奇妙な分析結果が出た。原料に含まれるウラン235の割合が、天然ウランとして予想される値より低い。約0.720%のはずが、ある試料では約0.717%だった。

小さな差だが、測定誤差として片づけるには大きかった。工場内で別のウランが混ざった可能性を調べても、原因が見つからない。原料をさかのぼると、アフリカのガボンにあるオクロ鉱床へ行き着いた。さらに調べた鉱石には、ウラン235の割合が約0.44%しかないものまであった。

鉱石には、核分裂で生じる元素の同位体組成も残っていた。ウラン235が少ない理由と、分裂後の生成物。その両方を説明できたのが、この鉱床そのものが、かつて原子炉として働いていたという結論である。

オクロ鉱石試料OKLO 311の質量分析で得られた写真乾板
鉱石試料OKLO 311の質量分析記録。JFZ0413/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0

鉱石と水がそろえた条件

核分裂では、原子核が分かれるときに中性子が飛び出す。それが別の原子核を分裂させ、さらに中性子が生まれれば、連鎖反応が続く。オクロには、これを維持できるだけのウランが集まっていた。

地下水も重要だった。水は中性子の速度を落とし、ウラン235が次の核分裂を起こしやすくする。鉱石が濃く集まり、適切な量の水が入り込むことで、地下に連鎖反応の条件が成立した。

ただし、同じような鉱床が今できても、当時の条件をそのまま再現することにはならない。ウラン235は、天然ウランの大部分を占めるウラン238より速く放射性崩壊する。約20億年前には、天然ウラン中のウラン235の割合が今より高く、約3%あったと推定されている。地質だけでなく、地球の歴史のどの時点だったかも効いていたのだ。

運転記録の代わりに残った岩石

研究者が調べているのは、反応が起きた事実だけではない。核分裂で生まれた物質が、長い時間の間にどこへ移ったかも研究対象になる。岩石の中に残った元素の分布は、地下での物質の動きを考える手がかりだからだ。

人間が原子炉を造るはるか以前に、地下では核分裂の連鎖反応が進んでいた。その痕跡を見つける入口になったのは、工場で測ったウランの比率の、わずかなずれだった。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. 天然原子炉(オクロ原子炉) ↗日本原子力研究開発機構 ATOMICA
  2. Meet Oklo, the Earth’s Two-billion-year-old only Known Natural Nuclear Reactor ↗IAEA

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