アメリカの州議会には、ふつう上院と下院がある。片方の議院で可決された法案は、もう片方でも審議される。ところが50州のうちネブラスカ州にだけ、上下両院という区別がない。一つの議院で州の法律を決めている。
しかも議員を選ぶ投票用紙には、共和党や民主党といった政党名さえ書かれていない。
一体なぜ、この州だけがそんな制度を使っているのか。
二つの議院があれば、法律は慎重に決められるのか
1930年代、ネブラスカ州にも上院と下院があった。しかし連邦上院議員ジョージ・ノリスは、その仕組みのある部分を疑問視していた。
両院が違う内容の法案を可決すると、代表者を集めた協議委員会で調整する。当時のネブラスカでは、この委員会が非公開で議論を進めていた。そこで決まった案は議会へ戻されても、そのまま承認するか否決するしかなかった。
ノリスは、重要な修正を少数の議員が密室で決める仕組みが、かえって政治を見えにくくしていると批判した。二つの議院があるから必ず慎重になるとは限らない。議論を一つの公開された議場に集めた方が、誰が何を決めたのか有権者にわかりやすいという発想だった。
1934年の住民投票で州憲法の改正が承認され、1937年から一院制の議会が始まった。
議員数は133人から43人へ
改革の結果、上下両院に分かれていた議員は133人から43人になり、委員会の数も61から18へ減った。州議会の公式記録によれば、1935年には約20万ドルだった会期の運営費が、1937年には約10万ドルになった。
だがノリスが目指したのは、単に議員を減らすことだけではない。候補者の政党名を投票用紙から消し、予備選挙の上位二人が本選挙へ進む方式を採用したのだ。
もちろん、議員自身に支持政党がないわけではない。しかし選挙の仕組みでは、まず一人ひとりの候補者を見て選んでもらうことを重視した。
その後、ほかの州でも一院制への関心が高まった時期はあった。それでもネブラスカ以外に導入する州は現れなかった。議会を二つ持つことにも、別々の立場から法案を点検できるという利点があるからだ。
現在、ネブラスカ州の議員数は49人。全米で唯一の一院制議会は、1937年の改革から続いている。