中国東北部、遼寧省の干上がった湖の跡から、古いハスの実が見つかった。硬い殻の中には種子が入っている。研究者が調べると、その一部は約1300年前のものだった。
古い植物の残骸が出土すること自体は珍しくない。驚くのは、その中の種子が生きており、発芽したことだ。人間なら何十世代も入れ替わる時間を、地中の小さな実が持ちこたえていた。
古い地層にあった、だけで終わらせない
種の寿命を調べる際には、年齢の確認が欠かせない。古い場所から見つかっても、後から入り込んだ新しい種かもしれないからだ。
このハスの研究では、実そのものの放射性炭素年代を測っている。植物が生きていたときに取り込んだ炭素のうち、放射性炭素がどれだけ残っているかを調べ、時間を推定する方法だ。
さらに、発芽後に取り除いた果皮を年代測定に使うこともできる。芽を育てながら、その芽が入っていた実の年齢を確かめられるのである。研究では、数百年から約1300年前にさかのぼる実の発芽が報告された。
殻を破るまで、水が入りにくい
ハスの実は硬い殻に守られている。発芽試験では、その殻の一部を削って水を吸わせる処理が行われる。外側が水の侵入を妨げているためだ。
種子にとって、すぐに発芽することだけが有利とは限らない。芽を出した後に環境が悪くなれば、動いて逃げることはできない。水を吸って成長を始める時期は、生き残るうえで重要になる。
長い休眠を経た種子が芽を出すには、内部の細胞も機能を取り戻さなければならない。ハスが長期間生きられる理由については、保護や損傷修復の仕組みが研究されている。
発芽した後の育ち方にも研究は及び、古い実から育った植物には生育の弱さなども報告された。芽が出たという結果から、さらにその後を追うことで、長い時間が生命に何を残すのかを調べられる。
乾いた湖底の実は、昔そこにハスがあった証拠にとどまらなかった。条件が整うと、そこから再び生きた植物が育ち始めたのである。