ひとくち雑学 · 技術

コンピューターのマウスは、最初は木箱と二つの車輪でできていた

この記事の目次
更新日:2026-10-31

コンピューターの歴史博物館には、木の小箱のようなマウスの試作品が残っている。底には、前後と左右の動きを測るための金属製の車輪が二つ。上にはボタンが一つ。洗練された形とは言いがたい。

1960年代初頭、ダグラス・エンゲルバートはコンピューターの使い方そのものを変えようとしていた。当時のコンピューターは、あらかじめ命令を与え、計算結果を待つ機械として使われることが多い。エンゲルバートが目指したのは、人が画面を見ながら文章や情報を直接扱う環境だった。

そこで困るのが、画面のどこを操作したいかという指定である。試作機を形にしたのはスタンフォード研究所の技術者ビル・イングリッシュ。机の上を移動させると、直角に配置された二つの車輪が回り、それぞれの回転量を使ってカーソルの縦横の位置を動かす仕組みをつくった。

1968年、エンゲルバートは公開デモでマウスを使い、文書編集や離れた相手との共同作業を見せた。後に「すべてのデモの母」と呼ばれる発表である。そこには、現代のパソコン操作につながる発想がいくつも登場した。

ただし、今のマウスが一直線にこの木箱から生まれたわけではない。同じ時期には別方式の指示装置も考えられていたし、普及までには長い年月が必要だった。

博物館に残る試作品を見ると、当たり前になった「画面の中を指す」という動作が、かつては発明の対象だったことがよく分かる。

REFERENCES

参考文献・出典

  1. The Mouse ↗Computer History Museum
  2. Prototype Engelbart mouse (replica) ↗Computer History Museum

リンク先は外部サイトです。本文は資料を参考に独自に執筆しています。