青空にぽっかり浮かぶ入道雲。その正体が「水」だと聞けば、不思議に思わないだろうか。水は重い。ペットボトルをひっくり返せば、すぐに落ちる。それなのに、雲の水は何時間も空にいられる。
秘密は、雲が巨大な一塊の水ではなく、非常に小さな水滴や氷の粒がばらばらに漂う集まりだということにある。

撮影・出典:Cbuske46 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(表示用に縮小)
雲が白く見えるのは、水蒸気ではない
透明な水蒸気は目で見えない。空気が冷えて水蒸気が凝結すると、微小な水滴や氷晶ができ、その光の散乱によって白い雲として見える。
この小さな水滴には重力が働いている。実は、雲の粒もずっと静止しているわけではなく、ゆっくり落ちる。ただし粒が非常に小さいため落下速度は遅く、上昇気流や空気の乱れに乗って漂いやすい。
さらに雲は固定した物体ではない。ある場所で水滴が蒸発する一方、別の場所では新しい水滴が生まれている。NOAAが説明するように、雲は絶えず形成と消滅を繰り返す現象なのだ。山にかかった雲が動かなく見えても、同じ水滴がその場に貼り付いているとは限らない。
いつから雨粒になるのか
雲粒は小さすぎて、そのままでは地上まで落ちる雨になりにくい。ところが水滴が衝突して合体したり、氷の粒が成長したりすると、やがて落下速度が大きくなる。
粒が大きくなり、上昇気流では支えきれなくなれば、雨や雪として下へ向かう。途中で蒸発して地面まで届かないこともある。
雲に含まれる水が「浮くか落ちるか」の境界は、物質が水かどうかではなく、粒の大きさ、空気の動き、成長の仕方に左右される。
大きな入道雲を見上げるとき、そこに水の塊が宙に浮いていると考えるより、無数の小粒が生まれ、漂い、合体し、消えていく巨大な工場を想像したほうが、実際の雲に近い。