晴れた日に見上げる空は青い。けれど太陽の光を直接見れば、空と同じような青色には見えない。夕方になると、今度は同じ空が赤や橙に染まる。光源は一つなのに、どうして空の色だけが変わるのだろう。
答えは太陽光が大気を通る間に、色ごとに違う方向へ散らばることにある。大気が青い色素で染まっているわけではない。

撮影・出典:Akshaya Soundararajan / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(表示用に縮小)
空のあちこちから青い光が届く
太陽光は白く見えても、赤から紫までさまざまな波長の光を含んでいる。大気中の窒素や酸素などの分子に当たると、光の一部は進む方向を変える。これがレイリー散乱だ。
この散乱は光の波長が短いほど強い。波長がおよそ半分になれば、理想化した条件では散乱の強さは約16倍になる。青い光は赤い光より強く散らばり、太陽そのものがない方角からも私たちの目に入る。
「青い光が反射して空が青くなる」という説明を見かけるが、正確には空気の分子が光を散乱させている。雲の白さや海の青さとは、主役になる仕組みが違う。
紫のほうが波長が短いのに、なぜ空は紫ではない?
「短い波長ほど散らばるなら、紫色の空になるのでは」と気づいた人は鋭い。実際、紫の光も強く散乱する。
ただ、人間の目は紫の光への感度が青より低い。太陽光に含まれる各波長の強さも同じではなく、空からは複数の色が混じった光が届く。その組み合わせを人の視覚が受け取るため、青として知覚されるのだ。散乱の強さだけでは空の見た目の色は決まらない。
夕方は青い光が「途中で横道にそれる」
太陽が地平線の近くへ下がると、太陽光は昼間より長い距離を大気の中で進む。途中で青い光がより多く散らばり、太陽の方向からまっすぐ来る光には赤や橙の成分が相対的に多く残る。夕焼けの赤さは、そのためだ。
砂ぼこりや水滴が多ければ見え方も変わり、いつでも同じ濃い赤になるとは限らない。
この説明を知ったあとで火星の青い夕焼けを見ると、ますます面白い。大気を満たす粒子の性質が変われば、夕焼けの色も地球とは違う。空の青さは普遍の色ではなく、太陽光とその惑星の大気がつくる色なのである。