カメは危険を感じると頭や脚を甲羅へ引っ込める。その姿を見ていると、硬い入れ物の中へ体をしまっているように見える。
ところが、カメはヤドカリのように殻を脱いで別のものへ引っ越すことができない。甲羅はカメの体の一部で、背骨や肋骨とつながっているからだ。
甲羅の中に、もう一つ体があるわけではない
カメの甲羅は大きく、背中側の「背甲」と、お腹側の「腹甲」に分かれている。背甲は骨の板からできており、その内側に背骨や肋骨が組み込まれている。
アメリカ自然史博物館の解説によれば、甲羅の骨格には背骨が融合している。甲羅の内側には、呼吸や運動を支える骨格と筋肉が独特な配置で収まっている。
甲羅の表面には、ケラチンからできた硬い板で覆われる種類も多い。手足を引っ込めたときに身を守るだけでなく、骨格として体を支える働きも持っている。
肋骨が広がってできた甲羅
では、この独特な体はどうやって進化したのだろう。
化石を調べると、甲羅が完成する以前のカメの祖先に近い動物では、肋骨が横に広がり、体が平たく丈夫になる特徴が見られる。さらに進化した系統では、肋骨などが広がって骨の板をつくり、背中全体を覆うようになった。
スミソニアン博物館の古生物学者は、カメの甲羅の進化を、肋骨の形の変化と、腹側の骨の発達から説明している。
もちろん、化石の系統関係には現在も研究が続いている。だが甲羅が外から被せた入れ物ではなく、体の骨格が変化してできたという特徴は明確だ。
甲羅の中へ首を引っ込めるカメをよく見ると、そこには奇妙なほど大きく形を変えた背骨と肋骨がある。