大きな翼を広げ、何日も海の上を飛び続けるグンカンドリ。海に浮かんで休めばいいように思うが、この鳥は羽が水をはじきにくく、海面に長く浮かぶ生活には向いていない。
では数日間も飛び続けるあいだ、いつ眠るのだろう。
2016年、研究者たちは野生のグンカンドリに小型の脳波記録装置を取り付け、驚くべき事実を確かめた。飛行中でも本当に眠っていたのである。
寝ているように見えるだけではわからない
長距離を飛ぶ鳥が飛行中に眠るという説は以前からあった。しかし鳥が空を飛んでいる姿を眺めるだけでは、目を閉じているのか、休んでいるのか、実際に脳が睡眠状態に入っているのかを確かめることは難しい。
そこでドイツのマックス・プランク研究所などの研究チームは、ガラパゴス諸島のオオグンカンドリに小型の脳波計と位置情報などの記録装置を装着した。飛行が終わった鳥を回収し、その間の脳活動を調べた。
鳥は長いときには10日ほど海上を飛び続ける。記録された脳波には、明らかな睡眠の特徴が現れていた。
脳の半分だけが眠ることもある
人間はふつう、脳の両半球が睡眠に入る。しかし鳥には、片方の脳半球を眠らせながら、もう片方を比較的覚醒させておく「半球睡眠」ができる種類がいる。
グンカンドリも、片方の半球だけを眠らせることがあった。意外にも、飛行中に両半球が同時に眠る場面も記録された。
眠るのは主に上昇気流に乗って旋回するようなときだった。翼を激しく羽ばたかせ続ける必要がない状況では、短時間の睡眠を取りやすいのだろう。
さらに驚くのは睡眠時間だ。研究者たちが測定した飛行中の睡眠は、一日平均わずか約42分。陸上にいるときの睡眠時間よりずっと短かった。
本当に睡眠不足で大丈夫なのか
グンカンドリがこれほど短い睡眠で飛び続けられる理由は、まだ完全にはわかっていない。空中では飛行の制御だけでなく、ほかの鳥や海面の状況、餌を見つける機会などに注意を向ける必要がある。
短い眠りを細かく取る方法は、空を飛ぶ生活の中で生まれたものと考えられる。ただし、人間も睡眠時間を極端に減らせるという話ではない。
飛行中に眠る鳥がいるという噂は以前からあった。2016年の研究は、海上を飛んでいる鳥の脳波を直接記録することで、その奇妙な能力を確かめたのである。