犬は人間が最も早く家畜化した動物とされる。しかし、いつ、どこで、その変化が始まったかは完全には解明されていない。
現在のオオカミが犬の直接の親ではない
現生の犬とオオカミは近縁だが、過去のオオカミの集団が分かれて進化してきた。『今のオオカミをそのまま家で飼えば犬になる』という話ではない。
犬とオオカミの系統は、長い期間にわたり遺伝子の交流も経験した。起源を考えるには、現在の犬種だけでなく古代の骨やDNAを調べる必要がある。
1万1000年前には既に多様だった
2020年の研究では、27体の古代犬のゲノムが解析され、約1万1000年前までに少なくとも5つの主要な祖先系統が存在したことが示された。
つまり犬は、近代の犬種改良より何千年も前から大きく多様化していたのである。
2026年の研究が示したこと
古代ヨーロッパの犬のゲノムを調べた2026年の研究では、少なくとも約1万4200年前には、のちのヨーロッパの犬につながる遺伝的な特徴があったことが示された。
ただし、この結果だけで犬の家畜化の起点をヨーロッパの一か所に限定することはできない。世界のどこで犬と人との関係が始まったかは、なお研究が続いている。
『アルファ犬』の誤解
現在の家庭犬の社会を、オオカミの群れの固定的な上下関係で説明する考え方は単純すぎる。犬の社会は柔軟で、威圧による支配を人と犬の関係の基本にする必要はない。
