1912年8月1日、スイスのアルプスで、乗客を乗せた列車が標高3454メートルのユングフラウヨッホへ到着した。駅までの道のりは、険しい山を人の足で登ったものではない。山の岩盤を長いトンネルで貫いた鉄道だった。
工事が始まったのは1896年。労働者たちはつるはしや爆薬などを使い、山の内部に少しずつ線路を通した。スイス国立図書館の紹介によれば、工事では多くのイタリア人労働者が働き、完成まで16年を要した。計画をめぐっては、アルプスの自然を損なうという反対意見もあった。
ユングフラウ鉄道は、岩山の内部を進み、観光客を氷河に囲まれた高地へ運ぶ。現在の車窓や展望施設は便利だが、標高3000メートルを超える場所では空気が薄く、平地と同じように動けるとは限らない。
鉄道の開通で、人々は登山用の特別な装備がなくても高山の景色に近づけるようになった。しかし、駅をつくるための長い工事と、山そのものの厳しい環境が消えたわけではない。
