ポーランドのバルト海沿岸には、森の向こうに真っ白な砂丘が広がる場所がある。スウォヴィンスキ国立公園の砂丘だ。南国の砂漠とは違い、近くには松林や湖があり、海から冷たい風が吹くこともある。ところがその砂丘は、ただそこに積もっているだけではない。
風が吹くたび、細かな砂粒が砂丘の斜面を登り、頂上を越えて風下側へ落ちる。砂粒一つ一つの移動は小さくても、それが続くと砂丘全体の位置が少しずつ変わっていく。国立公園では、場所によって年に数メートル程度移動する砂丘もある。
砂丘の先に森があれば、木の根元から砂が積もり、やがて幹まで埋めてしまうこともある。一方、砂丘が通り過ぎた後には、裸の地面へ新しい植物が入り始める。砂が動くことで、周囲の植生まで変わっていく。
これほど大きな砂の丘を動かすのに、砂漠のような高温は必要ない。必要なのは砂の供給と、砂を運ぶだけの風である。ポーランドの海沿いで起きているのは、ゆっくり進む地形の変化だ。
