アムステルダム・スキポール空港へ着陸するとき、旅客機は海面より低い場所へ降りていく。滑走路がある土地の標高は海面より4メートル以上低い。世界中から飛行機が集まる大規模な空港なのに、なぜ水に沈んでいないのだろう。
スキポール空港の公式説明によれば、ここはかつてハールレム湖の底だった。湖は1852年に排水され、干拓地として利用されるようになる。1916年に最初の飛行機が着陸したころも、すでに湖ではなく陸地だった。空港は拡張を重ねたが、開設当初と同じ地域で運営を続けている。
飛行機にとって、広く平らな土地は都合がよい。しかし土地が海面より低ければ、雨や地下水を放っておくことはできない。周囲の水路、堤防、排水設備によって水位を管理し、陸地の状態を保つ必要がある。オランダの干拓技術がなければ、あの広大な滑走路も成り立たなかった。
空港の歴史は、近代の飛行機だけの歴史ではない。それ以前に、水をくみ出して湖底を農地や市街地に変えてきたオランダの長い水管理の歴史の続きでもある。