モンテネグロの山地にあるタラ川の峡谷は、場所によって周囲との高低差が千メートルを超える。橋の上から谷底をのぞくと、青緑色の川がはるか下を流れ、両側に険しい岩壁が続いている。
どうしてこれほど深い谷ができたのだろう。川の水は流れながら岩を削り、石や砂を運ぶ。一度の洪水で千メートルの谷を掘ったのではない。長い時間をかけた侵食に、地殻の変動や周囲の岩石の性質などが重なって、深い峡谷になった。
タラ川の一帯はドゥルミトル国立公園と結びつき、ユネスコの世界遺産にも登録されている。今ではラフティングなどのアウトドア活動の場としても知られるが、水の流れは場所や季節で変わる。
地図で見ればただの細い川である。しかし現地では、川の両側に巨大な落差が広がっている。その土地に流れる水が、何百万年もの間に地形そのものを変えてきた証拠だ。
