ハンガリーの首都ブダペストには、冬の冷たい空気の中、湯気を上げる屋外温泉でチェス盤を囲む人々がいる。セーチェーニ温泉で見られる光景で、入浴中にもかかわらず盤面を真剣に見つめ、次の一手を考えている。
特別な機械があるわけではない。水に耐える盤を安定した台に置き、二人で駒を動かす。ところが、そのありふれた行為が温泉の中で行われると、ずいぶん珍しく見える。
ブダペストは地下の温水に恵まれ、古くから浴場の文化が育ってきた。街の浴場の歴史にはローマ時代やオスマン帝国時代とのつながりもあり、温泉は体を温めるだけでなく、人々が集まる場所として使われてきた。
観光客から見れば珍しい記念写真になるが、地元の人々にとっては友人と過ごす時間の一場面かもしれない。体は湯につかり、頭は盤面の勝負に集中する。温泉と社交の距離が近い都市ならではの習慣である。
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