お風呂に長く入っていると、指先の皮膚に細かな溝ができる。水から出ると少しずつ元に戻るが、この変化はなかなか不思議だ。なぜ手の甲ではなく、指先や手のひら、足の裏に目立つしわができるのだろう。
その仕組みには、自律神経と血管が深く関わっている。
指先の内側で血管が縮む
指の皮膚が水に浸されると、自律神経の働きによって、指先の細い血管が収縮する。その結果、皮膚の内側の組織の体積が少し小さくなり、表面の皮膚がしわをつくる。
1979年の医学研究では、神経の働きが損なわれた指では、水に浸してもしわができにくいことが報告された。お風呂のしわは、神経が正常に働いているかを調べる検査にも利用されてきた。
しわがとくに指先や足の裏に現れるのは、こうした場所の皮膚と血管の構造が関係している。
濡れた物をつかむための仕組み?
このしわには、どんな意味があるのだろう。
一つの説は、濡れた石や木の枝などをつかみやすくするために進化したというものだ。車のタイヤの溝が水を逃がすように、指のしわが表面の水を排出する役に立つと考えられている。
2013年の研究では、しわのある指の方が濡れた物を速く運べたと報告された。2021年の実験でも、濡れた物を保持するときに必要な握力が小さくなるという結果が得られた。
一方、2014年の別の研究では、物を扱う速さや触覚に明確な改善は見られなかった。しわの働きの詳細については、研究が続いている。
少なくとも、お風呂の後のしわは、指先の神経が引き起こす体の反応だ。いつもの入浴中に起きている小さな変化の裏に、血管の動きと進化の研究がつながっている。