イエメン領のソコトラ島には、枝を上へ広げて巨大な傘のような形になる木がある。竜血樹と呼ばれ、樹皮を傷つけたときに出る赤い樹脂がその名の由来だ。

この樹脂は昔から染料などとして利用され、島の外にも運ばれてきた。木の形も独特で、枝の先に葉が集まり、乾燥した環境で雨や霧の水分を利用することと関係していると考えられている。
ソコトラ島は周囲の大陸から隔てられた歴史を持ち、ほかの地域では見られない植物が多く育つ。竜血樹もその代表で、山の斜面に独特の樹冠が並ぶ風景は、島の象徴になっている。
しかし珍しい植物が暮らす島も、環境の変化から自由ではない。降水や乾燥の条件、家畜による若木の食害などによって、新しい木が育ちにくくなることがある。赤い樹脂と奇妙な形に目を奪われる一方、その木が次の世代を残せるかどうかも重要だ。