レバノン東部のバールベックには、古代ローマの巨大な神殿の跡が残っている。ジュピター神殿に残る六本の柱は、一本一本が非常に高く、見上げると人が小さく感じられる。神殿全体の大きさを想像するには、それだけで十分な迫力がある。

ローマ帝国の都市といえばイタリアを連想しがちだが、帝国は地中海の東岸にも広がり、多くの都市や宗教施設を築いていた。バールベックはローマ時代以前から人々に特別な場所として扱われ、何世紀にもわたる建築の歴史が積み重なった。
神殿の建設には巨大な石材が使われた。周囲には今も大きな石の加工跡があり、建設者たちがどのように石を運び、積み上げたかという疑問を呼び起こす。
現在残る六本の柱は、建物のほんの一部分にすぎない。それでも柱の太さと高さから、昔の人々がそこにどれほど壮大な建築を計画したのかを感じ取れる。