シンガポールが世界に売り込んでいる技術の一つは、いったん使った水を、極めてきれいな水に戻す仕組みだ。その再生水は「NEWater」と呼ばれる。写真に写るボトルを見ると、飲み水としてそのまま売られているように思うかもしれないが、実際の使い道はもう少し複雑である。
まず、下水を通常の工程で処理した後、細かな膜で微粒子や細菌などを取り除く。さらに逆浸透膜を通すと、水分子は通しながら、さまざまな溶解物質や微生物を除去できる。最後に紫外線による消毒を行い、高度に浄化された水を得る。シンガポールの水道当局PUBは、この工程をNEWaterの基本技術として紹介している。
では、その水はそのまま各家庭の蛇口へ向かうのか。実は主な供給先は半導体工場などの産業施設や、建物の冷却設備だ。半導体の製造工程では非常にきれいな水が必要で、NEWaterの品質が役に立つ。乾燥時には貯水池へ加え、通常の浄水処理を経て飲料水として利用することもある。
海に囲まれた都市国家でも、海水をそのまま生活用水にはできない。限られた土地と水源で需要をまかなうため、シンガポールは雨水の貯留、輸入水、海水淡水化、そして再生水という複数の方法を組み合わせている。
いったん使われた水が、膜を通り、産業で利用され、ときには貯水池を経て水道へ戻る。NEWaterの特徴は、単に「下水から飲み水をつくれる」ことだけではなく、水を何度も資源として使えるようにした点にある。