北朝鮮の首都平壌には、地下へ長く続くエスカレーターを備えた地下鉄駅がある。地上の入口から乗ってもなかなかホームへ着かない。駅の中には装飾的な照明や壁画があり、単なる移動のための設備とは違った雰囲気を持つ。
平壌地下鉄には深い場所を走る区間がある。深く掘ることは建設費や出入りの時間を増やす一方、地上の都市から隔てられた空間をつくれる。北朝鮮が建設を進めた時代には、朝鮮戦争で平壌が大きな空襲被害を受けた記憶があり、地下の空間を非常時に利用するという観点もあったとされる。
地下鉄の建設には都市の地形も、政治的な考え方も反映される。ホームの豪華な内装は国家が見せたい都市の姿とも関わり、駅の深さは安全保障への意識と結びついて語られてきた。
普段、地下鉄は地上の混雑を避ける便利な交通手段だ。平壌の深い駅を考えると、駅がどこに、どのようにつくられるかには、その都市の歴史も関わっていると分かる。