ブータンの首都ティンプーには、交差点の中央に小さな屋根付きの台があり、白い手袋の交通警察官が腕を大きく動かして車を誘導する場所がある。信号機の代わりに人が立つ光景は、観光客にもよく知られている。

警察官は手を回したり止めたりして、進む車の流れを変える。初めて見ると、交通整理が踊りのように見えるかもしれない。昔、信号機が試験的に設置されたものの、住民には手動の交通整理のほうが親しまれ、撤去されたという話も伝わっている。
しかし、信号機がないことだけで交通の仕組みが優れていると判断できるわけではない。都市が成長し、車の数が増えれば、混雑や安全に関する問題も変わる。人が交通をさばく方式も、交通量や道路の形に応じて考える必要がある。
ティンプーの交差点で印象的なのは、装置のかわりに一人の人間が車の流れを調整していることだ。道路を使う人々の動きが、その人の身振りに合わせて変わっていく。