ペルー南部の砂漠を飛行機から眺めると、地上に巨大なハチドリやサル、何本もの直線が現れる。ナスカの地上絵だ。あれほど大きな絵をどうやって描いたのかと思うが、意外なことに、絵の具はほとんど使われていない。
砂漠の地表を覆う暗い色の石を取り除くと、下から明るい色の土が現れる。その色の差を使えば、長い線を描くことができる。雨が少なく、地面の変化が比較的遅いことも、線が長い年月残った理由の一つだ。
では、なぜあんなに大きい図柄をつくったのだろう。宗教的な儀礼や水との関係、人が線の上を歩く行為など、考古学者たちはさまざまな可能性を検討してきた。空からしか見えないように思える図柄も、周囲の丘などから全体や一部を確認できる。宇宙人のための滑走路だったとする説には、考古学的な裏付けはない。
ナスカの地上絵を守るうえで難しいのは、線が繊細なことだ。地表の石を少し動かして描いたため、車で踏みつければ簡単に傷つく。2000年近く残ってきた線も、現在の人の活動で失われかねない。