カリブ海のドミニカ国には、山道を歩いた先に灰色の湯気が立ち込める湖がある。ボイリング・レイク、名前の通り「沸騰する湖」だ。中央部の水は泡立ち、周囲にも熱い蒸気が広がっている。普通の山上湖とはずいぶん違う。
島は火山活動によってできており、地下には高温の岩石や流体がある。雨水や地下水が地中へ入り込むと熱せられ、温まった水や蒸気が地表へ上がる。地形のくぼみに水がたまれば、蒸気を噴き上げる湖になることもある。
湖の状態はいつでも一定ではない。水位が変動し、過去には湖が大きく水を失った時期もあった。地熱活動や地下水の流れが変化すれば、水の温度や量にも影響する。遠くから見える白いものは朝霧とは限らず、危険な高温の蒸気かもしれない。
ユネスコ世界遺産のモルヌ・トロワ・ピトン国立公園には、この湖を含む独特の火山地形がある。熱に近い場所を歩くには、その土地の条件を理解し、適切な案内と安全対策が欠かせない。
