カリブ海の島バルバドスには、鍾乳石が天井から下がり、地下の川が流れる大きな洞窟がある。ハリソンズ・ケーブと呼ばれる場所で、海辺の砂浜とはまったく違う湿った地下の世界が広がっている。
洞窟の岩は、島に広く分布するサンゴ礁由来の石灰岩と関係している。昔、海の生物がつくった石灰質の物質が積もり、地殻の動きによって陸上に現れた。そこへ雨が降り、土壌から二酸化炭素を取り込んだ水が岩の割れ目に染み込む。
弱い酸性の水は、長い時間をかけて石灰岩を溶かす。小さかった割れ目が広がり、地下水の通り道となって、やがて人が入れるほどの空洞になる。一方、水滴から炭酸カルシウムが沈着すれば、鍾乳石や石筍が少しずつ成長する。
つまり、この洞窟を形づくったのは海と雨の両方だ。サンゴに由来する岩が陸上に上がり、今度は雨水によって内部から削られる。地上の海岸と地下の洞窟は、一つの島で起きた地質の変化の別々の姿なのである。