雲が頭の上だけでなく、足元にも広がっている。ボリビアのウユニ塩原で撮影された写真では、人が空の上を歩いているように見えることがある。実際に空へ上がったわけではない。平坦な塩の地表に薄く水が張り、巨大な鏡になっているのだ。
ウユニ塩原は、かつてこの地域にあった巨大な湖が縮小し、塩を残してできた。面積はおよそ1万平方キロメートル。乾いた季節には白い塩の模様が広がり、地平線までほとんど高低差が見えない。
雨季に水が薄く広がり、風が弱くて波が立たないと、水面が空をはっきり映し出す。条件は意外に繊細で、水が全くなければ鏡にならず、風が強ければ反射は乱れる。水量が多すぎれば、塩原を車で移動することが難しくなる場合もある。
何万年もの湖の歴史がつくった平らな塩の大地と、ほんの短い期間だけ広がる水。この二つが重なったとき、空と地面の境目が消えるような写真が生まれる。
