衛星写真で西サハラの砂漠を眺めると、地面に細い白い線が100キロ近く続いている。道路ではない。内陸のブークラー鉱山から大西洋岸へ、リン鉱石を運ぶベルトコンベヤーだ。
リン鉱石はリン酸肥料の重要な原料になる。遠くの農地で植物を育てるために使われる栄養分が、砂漠にある鉱山から採掘され、一本の長大な設備を通って港へ運ばれる。NASAはこの設備を世界最長級のベルトコンベヤーシステムとして紹介している。
砂漠の景色の中にまっすぐ伸びる白い線は、鉱石が落ちてできた色の違いとして衛星からも確認できる。遠くから見ると小さな線でも、実際には工業施設や港、輸送網が結びついた大規模な生産システムである。
ただし、設備の場所は政治的にも複雑だ。西サハラは領有と住民の自決をめぐる争いが続く地域で、鉱物資源の採掘や輸出の正当性も議論されている。砂漠を横切るこの設備には、農業資源をめぐる国際経済と、未解決の領土問題の両方が関わっている。
