シエラレオネの首都フリータウンを英語から訳せば、「自由の町」になる。地名としては明るい響きだが、その名前が付くまでには、奴隷制と大西洋を渡った人々の歴史があった。
18世紀末、英国側の計画によって、解放された黒人たちの入植地が西アフリカの海岸につくられた。1792年には、北米のノバスコシアから移住した人々が町を築く。のちに英国が奴隷貿易を禁止すると、海上で解放されたアフリカ人がこの地域へ送られ、町にはさまざまな背景を持つ人々が集まった。
しかし、そこは誰も住んでいない土地ではなかった。先住の共同体が暮らし、外から移り住んだ人々との間には、土地や政治的権限をめぐる緊張が生まれた。ひとつの町を「自由」と名付けることと、そこに関わるすべての人が同じ自由を得ることは一致しない。
現在のフリータウンには、移住者や現地の人々が形づくってきた文化が重なっている。名前を一語訳しただけでは分からない歴史が、港と町の中に残されている。
