コートジボワールのヤムスクロには、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を思わせる巨大なドームと列柱を備えた教会がある。平和の聖母大聖堂と呼ばれ、ギネス世界記録では世界最大の教会として紹介されている。高さは約158メートル。周囲には広い庭園と舗装された空間が続き、その規模は一目で分かる。
建設を進めたのは、コートジボワールの初代大統領フェリックス・ウフェ=ボワニだった。ヤムスクロは彼の故郷で、1980年代には政治的な首都にもなった町だ。国家の指導者が、自分の故郷に世界的な規模の聖堂を築いたのである。
建設は1980年代に進められ、1990年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が献堂した。教会の巨大さは人を驚かせる一方、その建設費や国家財政、国民生活との関係について議論を呼んだ。貧困の問題が残る国で大規模な宗教建築が造られた背景には、信仰だけでなく政治や指導者の権威が関わっていた。
世界最大級の教会という記録は建物の大きさを教えてくれる。だが、その場所がなぜヤムスクロだったのかを考えると、建築の話はそのままコートジボワールの近現代史につながっていく。
