ガーナの首都アクラ周辺には、魚や自動車、飛行機、飲料の瓶などをかたどった棺をつくる工房がある。実物大の魚の背にふたを取り付け、その中に遺体を納める。どの形にするかは家族が職人と相談して決め、漁師だった人には魚、運転手には車という具合に、故人の仕事や生前の希望が反映されることがある。
こうした棺は、アクラ周辺に暮らすガ人の葬送文化と結びついて発展した。地域の葬儀には親族だけでなく多くの知人が集まり、故人の人生や家族のつながりを確かめる場にもなる。棺の形はその人を説明する一つの手段だ。ただし、ガーナ全土で一般的な習慣というわけではなく、普通の長方形の棺も広く使われている。
現在知られる造形棺の発展には、20世紀半ばに活動した職人ケーン・クウェイの名がよく挙げられる。起源については異なる説明もあり、首長が使う装飾的な輿との関係も指摘されている。棺づくりは木工技術を生かした仕事で、職人は板材を組み、彫り、色を塗って、魚の鱗や車の窓まで表現する。
造形棺はやがて海外の美術関係者にも知られるようになった。ガーナの職人パー・ジョーらの作品は美術館でも紹介・収蔵されている。葬儀で用いられる棺と、展示用につくられた作品では目的が異なるが、どちらにも同じ地域で磨かれてきた木工技術が使われている。
魚の棺は、外から見れば人目を引く彫刻である。しかし、依頼した家族にとっては、亡くなった人が何をして生きてきたのかを思い出させる品でもある。
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