モーリタニアのサハラ砂漠には、直径約40キロメートルの巨大な同心円がある。地上に立つと小高い岩山や砂地が続くだけだが、衛星写真でははっきりとした目玉の模様に見える。リシャット構造、通称「サハラの目」だ。
あまりに丸いので、かつては巨大な隕石が衝突した跡ではないかと考えられた。だが調査では、衝突に特有の岩石の変化や痕跡が確認されず、現在では地質構造の隆起と侵食によってできたものと考えられている。
地下の岩層がドーム状に持ち上がり、その後に風や水の侵食を受けると、硬さの異なる岩の層が輪のように地表へ現れる。上から見える円は、地表に直接描かれた線ではなく、立体的な地層を削り出した模様なのだ。
NASAの衛星画像では、周囲の砂漠に対してこの輪が鮮明に浮かび上がる。かつて宇宙飛行士が地上の位置を知る目印として利用したことでも知られる。近づいても全体像が見えない地形ほど、宇宙から眺めることで正体が分かる場合がある。
