マダガスカル西部のモロンダバ近郊では、まっすぐな道の両側に巨大なバオバブが立ち並ぶ。太い幹の上に短い枝が広がり、葉の少ない季節には根を空へ向けて植えたように見える。この「バオバブの並木道」は、マダガスカルを代表する風景の一つだ。
写真では整然と植えられた街路樹のように見える。しかし、この木々は観光名所をつくるために一列に植えられたものではない。周囲にはかつて森林が広がっており、農地への転換などによって森の多くが失われる中、巨大なバオバブが残されたと考えられている。
バオバブの大きな幹は水分を蓄えるのに役立ち、長い乾季への適応にも関わる。葉が落ちる時期と、緑の葉を広げる時期では、同じ木でも見た目が大きく変わる。独特の形には、雨の少ない環境で生きるための理由がある。
並木道の美しさに目を奪われると、その周囲に森林がないことを見落としがちだ。残された巨木は、かつてこの一帯にあった植生を想像する手がかりにもなっている。
